日本経済は再生するか、アベトクロダノミクス(3)

もし“アベトクロダノミクス”が失敗したらどうなるのか? 体力を消耗し尽くした日本に代案があるのだろうか? そんな気持で書いているのだが、実は“財務省”も“日銀”も、本気でそれを考え始めたのではないか? ここでマスコミも、学者も、誰も気が付いていない…

日本経済は再生するか、アベトクロダノミクス(2)

財政赤字に対する物価上昇の効果は大きい。黒田総裁の思惑通り、もし2%の物価上昇が10年間続けば、日本の累積財政赤字は実質的に22%縮小する。累積赤字が1000兆円なら220兆円だ。消費税を増税しても、その効果は増税1%で税収2兆円である。…

日本経済は再生するか、アベトクロダノミクス(1)

半年間、執筆を止めていた。前回は“アベノミクス”の中間評価で終わった。半年後のいま、どうやら日本の経済は再生への分岐点にさしかかっている。 内容を(1)(2)(3)と小分けしたが、(1)の部分は前回とあまり変わっていない。新しい動きが見えてき…

アベノミクスは正念場

アベノミクスが“見込みちがい”に足を取られている。消費が低迷し、予定通り、経済の拡大が進まない。アベノミクスは、20年にわたるデフレ、円高、財政赤字を克服し、経済に成長力を取り戻そうということで出発した。2%の物価上昇(デフレムードを払しょ…

リニアの南アルプス破壊

[リニア新幹線] 国交省がリニア中央新幹線の着工を許可するという。目を開いて見てほしい。東京名古屋間、わずか40分の時間短縮のために、何がおこなわれるか? JR東海は南アルプスの核心部、赤石山脈の山腹を貫き、総延長52キロのトンネルを掘る計画…

絆(ともずな)

[社会史ノート]8月6日、オースラリアのバースの地下鉄駅で、男性がホームと電車の隙間にに転落、足が引き出せなくなってしまった。電車は止まっているが、誰もどうしていいかわからない。折から朝のラッシュアワーで大騒ぎになった。その時、誰かが電車の…

集団安全保障の現実

[政治]「日本も”普通の国”になったらどうか」と云われた。この場合の”普通の国”の意味が”戦力を持つ国”ということなら、もう戦力は保有している。日本が”普通の国”でない理由は、国の安全を米国に依存し、しかも米国の安全保障には直接関与していないことだ…

ウクライナ、うたごえ、ユダヤ人(2)

[歴史] 悪性の夏風邪をひいて、寝込んでいたため、原稿のお届けが遅れました。お詫び申しあげます。さて、19世紀末、大量のユダヤ人が国外に移住した後でも、なおロシア全域に500万人のユダヤ人が住んでいた。1917年、第1次世界大戦のさなか、帝政…

ウクライナ、うたごえ、ユダヤ人(1)

[歴史]1950年代、地域、学校、労組等の若者を縦断、組織化した音楽活動があった。「うたごえ運動」である。私も下宿の仲間と一緒に地元の幼稚園でコーラスを始めた。コーラスは盛況で、参加者二百人を超えた。半世紀余を経たいま、ウクライナ内戦のニュ…

円安でも輸出が増えない

[経済]アベノミクスが思いがけない問題をかかえこんだ。安倍内閣発足後1年半、大胆な金融緩和によって、大幅な円安が進んだ。円安になれば輸出が大きく増え、消費税増税のマイナス効果を上まわって、景気に火が付く。そんな計算をしていたのだが、円安で増…

異常気象は温暖化が原因

[環境]夏の猛暑。経験したことのない集中豪雨。巨大台風の連続。頻発する竜巻。数十年ぶりの大雪。桜の開花が早くなり、紅葉の季節が短かくなった。だれもが「何かおかしい」と感じている。日本だけではない。南太平洋では海面が上昇、陸地が浸食されて、島…

失くしたものを数えるな

[社会史ノート] ハンディネットワーク・インターナショナル社長・春山 満。難病のため、首から下の運動機能をすべて失い、箸を取ることさえかなわぬ身体になったが、自身の体験をばねに介護医療機器事業を設立。かたわら「失くしたものを数えるな」の講演活…

和製水メジャー

[食料]”水惑星”の地球だが、大部分の水は海水として存在し、人間が利用できる淡水は全体の0.01%しかない。しかもその7割は北極、南極の氷になっている。降り積もった雪がそのまま氷になるのだが、淡水は淡水でも、これは利用できない。それでも、地球…

宅急便の創造

[経済]若い人には想像がつかないだろうが、1960年代前半まで、日本の貨物輸送は国鉄が担っていた。高速道路ができてトラックによる路線輸送が増えたが、貨物のほとんどが業務用で、個人が荷物を送る時には、重量6KG以下なら、郵便局に持ち込むか、そ…

リニア中央新幹線は歴史的愚行

[リニア新幹線]ピラミッド、万里の長城、戦艦大和を歴史上の三大愚行と云うが、リニア中央新幹線はそれに比肩する愚行だ。南アルプストンネル予定地 クリックで拡大南アルプスに全長52キロの超長大トンネルを掘るのだが、地中に穴を穿つだけでは済まない。…

燃料電池自動車の迷走

[自動車]「無人運転車」に続いて自動車の技術革新トピックを続ける。ひところの電気自動車(EV)ブームが下火になったと思ったら、今度は燃料電池自動車(HCV)が話題になっている。自動車メーカーは、明日にでも市販できるようなことを言うが、実際に燃料…

無人運転車

[自動車]自動車の”自動化”は予想以上に早く進みそうだ。米国では、2010年以来、IT企業のグーグルが車両に装置を搭載、無人走行実験50万キロ超を達成している。この間の車両事故は2件。2件ともシステム上の欠陥ではなく、1件は手動運転中の事故、も…

特定秘密保護法

[政治]安倍内閣の右寄り政策が話題になっている。今さら、右も左もないが、極東の米中対峙のなかで日本はその最先端にあり、尖閣諸島では、日中が一触即発の状況にある。 残念ながら、日本単独では、領土を守る力はない。米国の力を借りるより仕方がないが、…

四字断想

天変地異 地球温暖化。地震・台風の世界的な惨事。”天地は国の明鏡”だが。 時代分岐 良き時代の終わり。自由主義の危機。国力後退と財政破綻の進行。 慣性時代 人材不足、意識劣化、豊かさの裏返し・・。”何とかなるだろう”だけ。 構造問題 少子高齢化と国内…

中国の領土意識(2)

[政治]海に国境はない。船の航行は自由であり、誰もが漁獲し、鉱物を採取できる。但し例外がある。領海の内部には陸の主権が及ぶ。通常は沿岸線から12海里(22.2KM)が領海である。さらにその外側の12海里を接続水域(contiguous zone)と呼び、主権そのもの…

中国の領土意識(1)

[政治]中國3千年の領土意識が目覚めたのか、尖閣諸島に暗雲が立ちこめている。これから2回にわたり、尖閣をめぐる領有権紛争の現状をお伝えしたい>。尖閣諸島が日本領になったのは1895年。日清戦争の真っ最中だった。日本政府の主張によれば、日本は当…

アベノミクスの成績表

[経済]アベノミクス劇場が開幕して1年。その成績表。安倍、黒田のコンビで世界から注目を浴びているが、まだ結果は未知数。卒業できるかどうかもわからないし、下手をすると退学になるかもしれない。だから中間成績表。まずアベノミクス三本の矢のうち、”金…

クールジャパンに望む

[経済]安倍内閣が”クールジャパン”運動を展開しようとしている。クールとは「カッコイイ」の意味。このところ、日本の文化が世界的な人気を集めており、もっと世界に宣伝できるし、経済的な利益にも結び付けられる。それを官民で後押ししようという運動で、…

脱原発を阻むもの

[原発]小泉元総理が脱原発を唱えている。原発最大の欠陥は、核廃棄物の処理方法がきまっていないことだと発言されている。そんなことは初めからわかっている。それより元総理にお尋ねしたいことがある。原子力発電には2つの側面がある。”エネルギー”と国の”…

米国・超保守主義世代の台頭

[社会史ノート](前稿から続く) 2010年の米国中間選挙で”茶会(Tea Party)”という政治組織が話題になった。インターネットで結ばれた米国の若者のネットワークで、これが共和党の支持にまわり、与党の民主党が下院のマジョリティを失う原因になった。…

医療保険改革をめぐる闇

[社会史ノート]民主主義の総本山、米国の政治に、とんでもないことが起こっている。共和党が2014会計年度の暫定予算を承認せず、政府の機能が止まってしまった。さらに10月中に政府債務の累計が法律で定めた上限金額に達するのだが、その増額も認めよ…

過疎高齢化社会の無人ショップ構想

[過疎高齢化]TBSが「ガイアの夜明け」で”自動販売機戦争”を取材していた。その番組の後半で、過疎地の商店の店先に自販機を搬入するシーンがあり、ここで登場するのが原田英明。東北一帯を販売圏とする仙台の独立系自販機設置業者「デリコ」の社長である…

長いものに捲かれる仕組み

[リニア新幹線]これからの日本に時速500キロで走る鉄道が不可欠だろうか? 速ければ速いほどよいという意見もあろう。だが代償が大きすぎる。南アルプスの壁に全長50キロもの長大トンネルをぶちぬき、その掘削土で谷を埋め立てるという。残土量950万…

尖閣諸島の背後で

[政治]尖閣諸島周辺では、あいかわらず、中国側の挑発が続いている。しかし中国の領海侵入はあくまで挑発。中国の指導者は、軍事力で、日米に対し、劣勢にあることを知っている。だから、ぎりぎりまで挑発することはあっても、尖閣を日米安保の対象とすると…

シャドウバンキング

[経済] 中国人の不動産への執着はすざまじい。実際、中国の富裕層は、世界中の不動産を買い漁っている。たとえば、韓国の不動産市場では、中国人が最大の買い手である。特に観光地の済州島は、一定額を投資すれば「永住権」を獲得できるという政策が、中国人…